学生賞作品:Weaving the Confluence

学生賞作品:Weaving the Confluence

サヴァ川とドナウ川が合流するこの場所は、かつて人々が集う「アダ(島)」が存在していた地でもあります。私たちはこの場所を、人・自然・歴史・都市が交差する結節点として捉え直し、そのあり方を再構築することを試みました。
新たに計画した建築では、この地域特有の強い風に着目し、その影響を緩和しつつ活かすような建物形状によって、快適な屋内環境の実現を図っています。また、既存樹木の保存と新たなランドスケープの計画を通して、コビトドリの生息環境の形成を目指しました。こうして生まれる緑地は、敷地東側の公園から河岸へと連続的に広がり、分断されがちであった都市の緑や、川を挟んで向かい合う新旧の市街地をゆるやかに結びます。
一方、対岸に位置する既存建物の改修においては、防風林に着想を得たルーバーを取り入れ、強い風を和らげながらも内部へと導く設計としました。これにより、自然との距離が近い半屋外的な滞在空間が広がり、外気と関わりながら環境負荷を抑える豊かな空間体験の創出を目指しています。
川の両岸に建つ二つの建築は、風の流れや鳥の飛翔といった環境のレイヤーを介して有機的につながる関係を築きます。
歴史、鳥、風、地形、そしてそこで活動する人々。こうした多様な要素を丁寧に束ね織り合わせることで、本提案の建築が都市と自然をあらためて結び直す新たな「都市の小さな島」として立ち現れることを目指しています。

早稲田大学・創造理工学研究科建築学専攻   福田 佳蓮
早稲田大学・創造理工学部建築学科              嵯峨 百香
早稲田大学・創造理工学研究科建築学専攻   川村 理生

指導教員:早稲田大学
        教授 萩原 剛

講評(南審査員)

自然を再生し共生するためには、その土地の成り立ちを理解し、気候を読み解くことから始まる。本提案は、川と地形の形成過程、風向・風力、緑地配置を読み解き、生態系保全と洪水リスクのデザインソリューションを導いている点に独自性がある。特に、New ConstructionおよびRenovationの双方において建物を川岸からセットバックさせ、コビトウの生息域保全と洪水への備えを両立させた点は高く評価できる。地形に沿い、緑と風が境界なく流れるようなデザイン形状は、建物のインパクトを与えず風景を作り出し、非常に美しい。Renovationのルーバーにも同等の繊細さを持つデザインソリューションが考えられれば、よりこの提案の魅力が活かされるデザイン提案になったと考える。