3位作品:MANY FACE OF...

3位作品:MANY FACE OF...

将来の持続可能な都市開発において、利用者のウェルビーイングを高めることは不可欠です。しかし、効率性を重視した画一的なアプローチは、その場所が持つ独自の文化的アイデンティティを損ない、地域のウェルビーイングを低下させることが少なくありません。本提案は、ベオグラードの豊かな地域的特徴に着目し、その独自の特性を空間デザインに反映させることを目指しています。画一的な解決策ではなく、地域の文脈を尊重することで、強いアイデンティティを育み、人々の日常生活を豊かにすることを目指しています。

芝浦工業大学・システム理工学部環境システム学科 本田 伊吹
芝浦工業大学・システム理工学部環境システム学科 吉野 暁雄
芝浦工業大学・システム理工学部環境システム学科 日名 泰聖

指導教員:芝浦工業大学
             教授 水谷 晃啓

講評(三井審査員)

本提案は、平屋を基本としたコンパクトな平面計画によって、建築の環境性能と空間体験を両立させようとしていた点が印象的であった。一般に、空間のボリューム(気積)を抑えることは、空調負荷の低減やエネルギー消費の抑制において大きな利点となるが、本提案ではそれを単なる数値的合理性に留めず、人の身体感覚に近いスケール感として空間化していた点に好感を持った。
また、建築単体の造形よりも、敷地内での配置や動線、風景との関係を丁寧に検討していた点も評価できる。宿泊棟や広場、水辺との距離感が慎重に調整されており、シンプルな構造や構成でありながら、多様な居場所や豊かな空間体験を生み出していた。
環境性能やLCA、断熱・通風計画についても具体的に検討されており、建築とサステナビリティを総合的に考えようとする真摯な姿勢が感じられる提案であった。
一方で、「MANY FACE OF ...」というコンセプトは非常に多くの要素を包含しているがゆえに、建築としての中心的な空間体験や、この場所ならではの強い空間的焦点がやや見えにくくなっていた部分もあったように思う。今後さらに提案を深めていく上では、多様性を受け止めながらも、それらを束ねる建築的な秩序や象徴性について考えていくことで、より強い提案になっていくのではないかと感じた。